先週の「CITY SCAPE!」とも関連するのですが、現在、「ひろしまピースライン」と銘打って、様々なイベントが行われています。
まあ、すぐに「平和」だの「ピース」だのという言葉を使いたがる安易さはちょっと感じるのですが、内容はなかなか面白そうです。
特に、レストハウスや旧日本銀行広島支店を活用したコンサート。こういうものは要チェックですね。(両方とも既に終了していますが)
被爆バイオリンだとか、被爆ピアノだとかいう拘りも大切ですが、個人的に注目したいのはその「場」が持つ力。
何回もしつこいですが、今年、私は旧日銀で演奏会を行いました。ネオルネサンス様式の建築の中で、ルネサンス期の音楽を演奏する。しかも、あの高い天井が活かせるよう、高い天井を持つ教会で演奏されることが多い宗教音楽をメインのプログラムとする。そしてもちろん、被爆建物という意味合いも考慮し、そういうテーマでの選曲を行う。自画自賛ですが、本当に良いステージが出来ました。音楽×建築の素敵なコラボ、です。
レストハウスについては、正直、そこまでの特徴を感じる空間ではないですが、それでも、かつての広島の中心地・繁華街であった場所で、当時の西国街道に面した、人々の暮らしのど真ん中にあった建物で、そして被爆して、という歴史は、音楽に付加価値を与えます。以前聞いた「二十歳になったら」というような、市民が主役となった物語を表現するには、非常に適した場所と言えるでしょう。
旧日銀なり、レストハウスなり、ああいう空間がアートや音楽で埋まる、と言うのは素敵なことです。とかく「被爆建物」という側面ばかりが強調されがちで、音楽もアートも反戦を前面に出したものでなければならない、とやりがちですが、そうではなく、建物の特徴、立地の特徴を活かした、その場所ならではの表現がある訳で、それがきちんと出来るなら、どんな立派なシンフォニーホールにも負けない表現が出来る、と私は思います。