小樽

 前回に引き続き、北海道報告で、今回は小樽です。札幌から約40km離れたこの街は、札幌の外港として街が発展してきました。東京で言う横浜、大阪で言う神戸、という感じの位置づけでしょうか。(広島で言うと、立地的には呉、みたいな感じですが、「呉は広島の外港だ」なんて言ったら呉市民に怒られるでしょう…)

 小樽で有名なのは、何と言ってもこの運河でしょう。

 良い雰囲気だねぇ。観光地として人気があるのもわかります。

 ところがこの運河、元々はもっと広い運河だったとのこと。(実際、もう少し北側に行くともっと広い運河が残っているとのこと。今回は行けませんでしたが)

 で、その広い運河の3/4を埋め立て、幹線道路を建設するという計画が元々あった様子ですね。

 ところが、その後運河保存運動が展開され、結果埋め立て計画を当初の半分に縮小した。そして写真のような整備結果となり、道路幅員が削減され、代わりに遊歩道等が整備された、とのことです。

 

 う~ん。。。現状を見る限り、明らかに計画変更して正解だった、と思いますね。計画変更後(つまり現在)でも、6車線を擁する道路となっています。今から見ると、「これで充分でしょ。これ以上広い道路を造る気だったのかね。」と思います。

 なんか、福山・鞆の浦の架橋問題を思い出す話ですが、ただ、おそらく、当時は当時で、それなりに根拠があって、幹線道路が必要だと判断していたのでしょう。つくづく、都市計画って難しいなぁと思います。

 

 と、まずは都市計画の話をしました。後は、建物を観て回りましょう。

 まずは、この地域独特の「木骨軟石造」の倉庫。この界隈には同種の建物が多いですね。

 この「木骨軟石造」。燃えにくい上に、加工しやすい、という特徴があるとのこと。小樽って、火災が多かった様子ですね。特に、1904年の大火を機に、本格的に取り組みがされるようになった様子です。

(駅前のこういう大通りも防火対策の一環。平成に入り、さらに拡幅されたとのこと)

 その駅前通りにある、旧安田銀行小樽支店。この辺りから、「北のウォール街」と呼ばれ、風格ある銀行建築が並びます。

 次に旧第四十七銀行小樽支店

 旧商工会議所ビルは、星野リゾートがホテルの一部として活用しています。

 旧三井銀行小樽支店。現在は、小樽芸術村の一部として活用されています。

 その小樽芸術村の一部、似鳥美術館(左。旧北海道拓殖銀行小樽支店)。似鳥=ニトリです。地元企業に、そういうパトロンがいるって良いねぇ。

(ちなみに、右側のビルは、旧三菱銀行小樽支店)

 そして、日本銀行旧小樽支店。

 

 と言う具合に、レトロチックな小樽の銀行建築を見て回りましたが、最後に一つ。モダニズムを。市立小樽文学館です。

 どっかで見たことある建築とよく似ていません?? そう、広島の逓信病院と非常に似ています。それもそのはず。この建物、元々は小樽地方貯金局とかいう建物だったそうで、設計は逓信省営繕課の小坂秀雄とのこと。(広島の逓信病院逓信省営繕課・山田守) 様式美が建ち並ぶ小樽の建築群の中では、こういうモダニズムは異色で、「小樽っぽくない」とか言われそうですが、たてフェスで逓信病院を担当し、ある程度勉強した私からすると、小樽でこんな建物に巡り合えたのがちょっぴり嬉しかったです。やはり、逓信省営繕課ってのは凄かったんだろうなぁ、って思いました。

 以上、小樽でした。次は札幌です。