中国新聞の特集「イケてない?広島 人口流出のなぜ」。今回は
です。
まあ、何か、片手落ちな記事ですね…。
コンサートやライブが少ないのは、まあ、その通り。広島グリーンアリーナクラスのアリーナがもう一つあればいいな、と思うのもその通りだとは思います。
…が、そもそも、コンサートやライブが増えれば人口流出が止まるとか、そう思っていたりします??(記事にはそのような記載は直接的にはありませんが)
私、それ、相当大きな勘違いだと思います。
冷静に考えてください。自分自身が大学生だったとして、就職の際は何を考えて就職しますか?
「この会社で上手くやっていけるだろうか…」「自分の実力は社会で通用するだろうか…」「この会社、倒産とかしないだろうな…」「知らない都市に就職して、きちんと生活できるかな…」「土地勘ないけど、営業とかできるかな…」「地方は車が必須だけど、車運転苦手なんだよな。大丈夫かな…」「スーパーとかコンビニとか、近所にないと困る。田舎に配属とかないだろうな…」「朝起きるの苦手。通勤に何時間もかかるのは無理かもしれない」「たまには親元に帰りたいけど、あんまり遠い街だったら帰省も大変だよな。親に何かあった時はどうしよう」とか、そんなことばかりじゃないですか? ここで、「広島のA社と福岡のB社を比較して、福岡は推しのコンサートが年1回あるから、福岡のB社にしよう」なんて考える人は、相当稀ですよ。今後何十年も住むであろう街、勤務するであろう会社を決めるのです。「福岡の方がライブが充実しているから」なんて理由で広島を出ていく人なんて、滅多にいないと思います。
これが、大学進学の話なら分かります。例えば、修道大学と福岡大学を比較して、「学ぶことは似たり寄ったりだな…。それなら、ライブが多い福岡にしよう。福岡は街も充実しているし、広島より楽しいや」というのは、よくある話。折角の学生生活です。華やかな都会に憧れるのは当然でしょう。(だから、特にいわゆる「私文」は、大都市の大学の偏差値が高くなる)
なので、「大学進学時の人口流出や、流入の少なさ改善のためにコンサートやライブを増やそう。アリーナを造ろう」というならまだわかる。また、関係人口増や、中心市街地活性化、都市型観光の推進のためにアリーナを造る、というのもその通りだとは思います。ただ、「アリーナを造ったら転出が減り、明るい未来が待っている」なんて考えないことです。アリーナ建設は、広島活性化の切り札にはなりません。あくまでも、都市の機能の一つでしょう。大きな期待はしないこととしましょう。
【おまけ】
もう一つ、中国新聞の記事でちょっぴり不満を感じるのは、「大アリーナで行われるようなコンサートにしか言及がない」こと。大アリーナのコンサートは確かに目立ちます。ビッグアーティストが来ます。経済効果も大きいです。
でも、コンサートって、そんなものばかりじゃないでしょ。人の趣味も多種多様でしょ。
ちなみに、今日、5/25は、グリーンアリーナでWEST.のコンサートがあっただけでなく、HBGホールで韓国のアイドルのライブ、上野学園ホールではナオト・インティライミのライブがあった様子ですね。その他、インディーズやアマチュアのライブも各地でたくさん行われているはずです。人々を惹きつけるのはビッグアーティストだけじゃない。日常的にそのような興行がたくさん行われているという方が、都市の魅力としては大事なのではないかと思いますがいかがでしょうか。