「平和大通りの利活用のためのワークショップ」を終えて ~Park-PFIの限界~

 4回に渡った「平和大通りの利活用のためのワークショップ」。先日、全行程を終了しました。

 個人的には、平和大通りシャンゼリゼのような素敵なオープンカフェ通りにしたい」という想いを訴えたいがためだけに参加したこのワークショップ。その目的自体は達成できました。こういう機会が与えられたこと自体については、素直に感謝したいと思います。ありがとうございました。

(最後のワークショップの様子)

 ただ、ワークショップを重ねていくうちに、私の中で、一つの思い、違和感がずっとくすぶるようになって来ていました。それは、「バカの一つ覚えみたいに、Park-PFIでそこら中にカフェ置きまくって、イベントスペースばかり設置して、それで本当にOKなの?? もっと何か、本質的なものがあるんじゃないの??」ってこと。ワークショップを重ねていく中で、「何か違う…」と感じながらも、その「何か違う」の本質が掴めないまま、また、解決策が浮かばないまま、「建設的な意見が出せないなら、言うべきではないね。この違和感は、胸の中にしまっておいて、思い浮かぶ建設的な意見だけ言おう」と考え、発言していました。

 

 その違和感が表面化してしまったのは、最後、4回目のワークショップ。他の方の意見で、「場所ごとの議論は別として、そもそも、全体のグランドデザインが不足しているのではないか。全体をどうしたい、という想いが感じられない。カフェを置いて賑わえば良い、と言うものではないだろう」という意見を聞いた時、私は、「残念ながらその通りだ…」とうなだれるしかありませんでした。

 

 最近、公園の利活用方法として、Park-PFIが大人気です。「これぞ切り札」と言わんばかりで、各地で導入が進んでいます。

(県内最初のParkーPFI事例となった、福山の公園)

 ParkーPFIと言うのは、簡単に言うと、「公園の中にカフェとかの施設を設置して良いですよ。その代わり、その公園を数十年と言うスパンで管理してね」と言うものです。福山や他都市の事例のように、「薄暗い公園をみんなにもっと使ってもらえるようにしよう。明るくて、みんなが喜ぶ公園にしてよ」というなら、ParkーPFIはその威力を発揮してくれると思います。

 ただ、今回の平和大通り利活用のように、「幅員100m、総延長4kmという壮大な、世界でも有数の街路の魅力を向上させよう」と考える場合に、「ParkーPFIで、まあ、カフェとかイベント広場置いておけば良いじゃろ」と考えるのは、あまりにも安易な発想である、と言わざるを得ない。手法としてのParkーPFIというのは間違いではないとしても、そこで何をしたいのか、どうしたいのかは、事業者任せではなく、広島市が、そして広島市民が、もっと主体的に関わらないといけない、と思います。今のまま、「何となくParkーPFIで民間に任せておけば良いさ」という発想では、大した平和大通りなんて出来っこなく、せいぜい、どっかで見たことがあるようなカフェが並び、札幌の大通公園や名古屋の久屋大通りをコピーしただけのような平凡な通りとなることでしょう。

 

 振り返ってみると、最近の広島市は全部これのような感じを受けます。平和大通り、市民球場跡地、サッカースタジアム隣の広場、広島城の敷地内。。。全部Park-PFIで整備しようとしています。何度も言いますが、Park-PFIという手法自体は間違いではない。ただ、ここに市の主体性が全く感じられません。正直、「魅力づくりなんて、良くわからんよ。それに大して興味ないよ。とりあえず、ParkーPFIという最新の手法を使って、民間に任せておけばよいじゃろ。民間に任せておけば、それなりのものは作るだろうよ。もし、上手くいかなかったとしても、それは広島市のせいじゃない。民間企業の能力が足りなかったんだよ。我々は頑張っていると言って良いし、上手くいかなかったら民間のせいにしておけばよい」と言っているように見えます。

 

 そうじゃないだろう、と私は思います。世界有数の街路で、回遊性向上のツールとしたい平和大通り、丹下ラインの延長線上にあって、都心活性化の起爆剤としたい市民球場跡地、観光地としての価値を高めたい広島城敷地。。。。それぞれが、「ParkーPFIで賑わえばそれでいいじゃろ」と言うものではなく、もっと、戦略的と言うか、熱い想いと言うか、そういうものを広島市(&広島市民)が示すべきだろう、と思います。

 それが出来ない広島市って何なんだ、と思いつつ、私自身も、結局は何をどうすればよいのかわからない。つくづく、まちづくりって難しいなぁ、と思った次第でした。

 ただ、まあ、とりあえず平和大通りの公園化⇒Park-PFIの導入で、「道路だから何もできない」という状況ではなくなった。今後、オープンカフェも立ち並ぶだろうから、その意味では、私が夢描いていたこちらの構想は、それなりに実現することになる。そこについては、素直に喜ぶこととしましょうか。この平和大通り。今後、まだまだ付加価値を上げることが出来るはず。まだまだ、色々と考えていきたいものだ、と思います。

(もっと色々と出来るハズ。今後も考えていきたいものです)