呉駅前から考える

 少し前、ちょっと用事があって呉に行ってきました。

 近年、呉についてあまり良い話を聞きません。人口の大幅減、製鉄所の閉鎖、etc…。

 正直、どうしようもない面がありますね。産業構造の転換に取り残された感じです。

 現段階では、東広島市より若干人口が多い呉市ですが、昨今の人口の増減状況をみると、まあ、近い将来追い抜かれることでしょう。率直に言って、「広島中央圏の盟主は、呉から東広島へ世代交代だね」という感じです。

 じゃあ、呉はもう駄目なのか、という話ですが、いくら東広島への世代交代が進んでいっているとは言え、東広島が持てていないような都市機能を呉はまだ持っている、という側面もあります。次の写真を見てください。呉駅前です。

 次に、西条駅前。

 写真では分かりにくいかもしれませんが、呉駅前と西条駅前を比較した場合、呉駅前の方がはるかに都会的です。まあ、「都会的」とかいう言葉がなんか田舎者っぽいですが(笑)、都市機能の充実と言う面から見ると、呉の方が西条よりはるかに充実している。一例を挙げるなら、呉駅前には呉阪急ホテルと言うシティホテルがあるが、西条駅周辺にはビジネスホテルぐらいしかない。しかも、呉にはもう一つ、クレイトンベイホテルっていう立派なホテルもある。こういうものは東広島市にはないですね。

 東広島の状況を見てもわかるとおり、今の時代、広島クラスの都市ならともかく、人口20万人程度の都市ではシティホテルは進出してこないのかもしれません。じゃあ、何で呉には2つもあるのか、ですが、これは過去発展していたという証。元気が良かった時代に出来た、良質な都市ストックです。こういうものは大事にしないといけないですね。なくしたら二度と出来ないでしょう。

 

 呉に限らず、日本全体が人口減少時代に入っている中、また、広島県は全国でもトップの人口社会減が続く中、「地域活性化のために、こんな新しいものが欲しい」とかばかり言うんじゃなくて、既存都市インフラ、都市ストックをいかに存続させていくか、というのは大事に考えていかないといけないですね。なくなるという話になってから「地域の損失だ。行政がなんとかしろ」とかいう、いつもの他人任せを発動させるんじゃなく、常日頃から意識して、日常生活を送りたいものだ、と思います。

 

 例えば、「こういうもの、広島の都市規模を考えると「あって当たり前」じゃないよな…。大事にしないとな」というもの、周りにありません? そういうものは大事にしましょうね。

(とりあえず、「あって当たり前じゃないぞ」と私がすぐに思い浮かぶもの2つ。音楽大学プロ野球チームです。こういうものは大事にしないと、失ったら2度と手に入らないでしょう…)